鵲(かささぎ)の渡せる橋に置く霜の 白きを見れば夜ぞ更けにける
小倉百人一首は 公家 藤原定家が 鎌倉幕府の御家人の蓮生(宇都宮頼綱)の求めに
応じて作成した色紙である
蓮生は京都嵯峨の別荘小倉山荘の襖の装飾のために定家に色紙を依頼した
定家は飛鳥時代の天智天皇から鎌倉時代の順徳院まで100人の歌人の和歌を選んだ
百人一首・第六番歌 かささぎの渡せる橋におく霜の・・・・・・・・・・・・
かささぎ |
〇 七夕の夜 牽牛 織女の二星が合うとき カササギが
翼を並べて天の川に渡すという想像上の橋
〇 宮中を天上になぞらえて その殿舎の御階(みはし)
解釈の参考文献(七夕の歌なのか、冬の歌なのか)
○ 霜満(しもみつ)天説 七夕のことに非ず天を
さして云うなり
(細川幽斎 後陽成天皇 太田白雪・・・他)
○ 七夕橋説 鵲が翼を連ねて男女の星を逢わせてやった橋
(北村季吟 窪田空穂 有吉保・・・・他)
○ 宮中御階(みはし)説 厳かなる宮中の冬の夜に御橋の霜の白きを見て夜の更け
たる事をしるというなり
(賀茂真淵 佐々木信綱 久松潜一・・・他)
○ 両説並行して解釈する説 直接には宮中の御階を見ながら
想像上の天空の鵲橋をありありと幻視している
(香川景樹 安東次男 鈴木日出男・・・他)
定家は大伴家持の歌のどこに魅力を感じたのか
黒と白のモノトーンの世界 「おもしろき景色も色も香もなき世界
「えも言えぬ美的空間」 となっている
日本人が見えない物を見る美学はさらに 永い歴史を持っていくようになる
(和歌の歌枕 能 狂言 落語の世界 三日月 月に叢雲)
パロディ
かざりよく渡せる糸のおく琴は仕立ててみれば良き音〆(ねじめ)なり
傘さして行くとも人にゆき当たるそれば喧嘩のもととなりける
蕎麦売りに声細々と行灯の白きをみれば夜ぞ更けにける
笠をきて通る娘のおもざしの白きをみれば皆ぬけにける
かささぎの渡せる橋に涼む人の白きを見ればふんどしなりけり
若禿を装ひて包みおく髪の白きを見ればとしふりにけり
天野川 |
天野川は淀川に注いで合流する
かささぎ橋は 府道13号線(旧国道1号線)の幹線道路である
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